Close

退去時の原状回復と経年劣化について、知っておくべき基礎知識

お部屋を引っ越す際、退去費用は気になりますよね。その際、原状回復や経年劣化という単語をよく聞くと思います。退去するとき以外ほとんど耳にはしないと思いますが、知らないと実はトラブルにつながりうるのです。
今回は、退去時にかかるお部屋の原状回復と経年劣化について解説していきます。

 

原状回復とは一体何なのか?

原状回復とは、退去時に借主が居住している間にできたキズや痕を修繕するための費用を払うことです。国土交通省のガイドラインでは、借主貸主のどちらがお部屋の修繕義務を負うかを定めています。

 

国土交通省ガイドラインについて

国土交通省ガイドラインはキズが故意なのか経年劣化によるものなのかの基準を定めており、退去時に頻繁に発生する揉め事が起こらないことを目的としています。
何が原状回復の義務を果たすのか判断に迷うときは、国土交通省ガイドラインに詳しく書いてありますので参照してみてください。
住宅:「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について – 国土交通省 (mlit.go.jp)
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000020.html

 

原状回復に当てはまることは?

それでは、退去時に借主が原状回復をしなければいけないのは、どのようなものが当てはまるのでしょうか?いくつか例を見ていきます。

 

・部屋の壁を殴ってできた穴
・物を引きずってできた床のキズ
・タバコのヤニによって黄ばんだ壁紙や設備
・ペットを飼育していた室内のキズや汚れ

 

これらは通常の生活によってではなく、借主のお部屋の使用によって故意または過失によりできたものなので、原状回復をしなければなりません。

 

経年劣化・通常損耗とは一体何か?

経年劣化はお部屋の状態が時間の経過とともに劣化していくことをいいます。通常損耗は人が普段通りの生活していくうえで、防ぎようのない損傷のことをいいます。

 

経年劣化に当てはまる事例

・太陽光による壁紙・畳の日焼け
・通常使用していて年月の経過によって壊れてしまった設備

これらは長い年月の使用や、自然が原因なので借主の責任にはなりません。よって経年劣化が原因のものは、原状回復の責任はありません。

 

通常損耗に当てはまる事例

・家具を置いたことによる床のへこみ
・冷蔵庫やテレビによる壁紙の電気焼け

これらも普段の生活でできてしまったものなので、通常損耗になります。冷蔵庫やテレビは生活に必要なものなので、借主に置くなというのは難しいです。ですので、電気焼けも通常損耗のうちに入ります。

このように通常損耗は普通の生活をしている範囲のものであれば大丈夫です。

 

経年劣化・通常損耗と原状回復の関係とは?

経年劣化・通常損耗と原状回復の関係は、大雑把にいうと故意か故意でないかということになります。
経年劣化は年月によってなるものなので、ある程度は仕方ないことです。しかし、それによって起こる二次的な損傷を放置してしまった場合、程度によりますが原状回復義務が生じる可能性があります。
また通常損耗も同じで、生活を送る中でできてしまうキズや痕は小さなものであれば貸主負担になりますが、壁紙を張り替える必要があるものは借主に原状回復義務が生じます。

 

このような場合どうなる?

・エアコンの水漏れを放置して壁や床が汚れたり腐ってしまった場合は?
エアコンが壊れること自体は原状回復に関係がありません。しかし、それをすぐに直さず水漏れを放置したのは借主の過失になるので原状回復義務が生じます。

 

・キッチン周りが油で汚れている場合は?
キッチン周りの汚れも程度によって、原状回復をする必要があります。一般的な清掃業者で取り除ける場合は、通常損耗として扱われます。しかし、特殊な清掃業者でなければ取り除けないような長年放置していた汚れがついていた場合、原状回復しなければならない場合があります。

 

・画びょうを壁に使用して穴が開いてしまった場合は?
画びょうだけであれば、通常損耗として扱われることが多いです。しかし、釘やネジといった抜いたときに穴が大きくなるものや、粘着テープや接着剤で貼り付けた痕は、原状回復をしなければなりません。

 

こういった事例は国土交通省のガイドラインにも書かれていますので、気になったら照らし合わせてみてください。

 

 

まとめ

退去のときの原状回復について説明をしてきました。トラブルの原因にもある事柄ですが、知っておくだけで回避することにつながります。賃貸での暮らしは、次の入居者のことも考えて生活しましょう。

 

room's